早野忠昭 × 堀江貴文
早野忠昭

早野忠昭(はやの ただあき)

1958年生まれ。長崎県出身。一般財団法人東京マラソン財団事業担当局長・東京マラソンレースディレクター、日本陸上競技連盟総務企画委員、国際陸上競技連盟ロードランニングコミッション委員、スポーツ庁スポーツ審議会健康スポーツ部会委員、内閣府保険医療政策市民会議委員。1976年インターハイ男子800m全国高校チャンピオン。筑波大学体育専門学群卒業後、高校教論、アシックスボウルダーマネージャー、ニシ・スポーツ常務取締役を歴任。

堀江貴文

堀江貴文(ほりえ たかふみ)

1972年生まれ。福岡県出身。SNS media&consulting 株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュース、また予防医療普及協会としても活動するなど幅広く活躍。

「ランニングで生活習慣改善」
−−実現のために必須のこととは!?

AI・ロボット時代の到来でスポーツの価値が増していく

早野 ■
堀江さんはもともとIT業界から出てきた方で、現在も様々な最先端領域でビジネスを手がけています。そんな堀江さんがランニングというアナログなスポーツに親しまれているのはおもしろいですよね。
堀江 ■
そうですよね。技術の話でいくと、技術が発展していくからこそ、今後ランニングやスポーツの市場も広がっていくと思っています。というのも、これからAIやロボットの時代になっていくと、企業は省力化をどんどんと進めていくんです。今の段階でも、AWS(※補足)を使えばさまざまなITリソースを活用することができますし、僕が欲しいものはだいたいAWS上にありますから、わざわざ人を雇ってシステムなどを構築していく必要はありません。つまり、そうやって技術が発展していくと、ほとんどの人が仕事をしなくてもよくなっていき、今まで以上に余暇時間ができるんです。じゃあ、何をするかと言うと、遊ぶしかないんです。そこでスポーツの出番であり、RunLinkの出番ではないかと思っています。

(※補足)AWS(Amazon Web Services):Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスのこと。ストレージやアプリケーションなど、さまざまなITリソースをインターネット上で利用することができる。

正統派の手法での生活改善はむずかしい?

早野 ■
堀江さんは一般社団法人予防医療普及協会の理事として医療ビジネスにも関わっていますが、生活習慣病などに対してはどのようなアプローチをしているのですか?
堀江 ■
たとえば糖尿病の予防キャンペーンなどを実施していこうと考えていますが、実は糖尿病など、生活習慣病へのアプローチは非常に難しいんですよね。なぜかと言うと、生活習慣病になる人の多くは意識が低い人たちなんです。彼らは健康診断には行かないし、食事や飲酒にも気を配らないし、運動もしない。そうした人たちの生活改善していく上で正統派の理論では難しいんです。
早野 ■
私たちの場合、生活習慣病の人の生活改善のためにコーポレート・フィットネスを推進させ、健康であることが企業で評価されるような流れを作っていきたいと考えていますが。
堀江 ■
それはまさに正統派の考え方ですよね。それではこの問題は解決できないと思うんです。たとえば、ゲーミフィケーションを用いたり、金銭的なインセンティブを設けるとか別のアプローチも必要なのかなと。先日、ZOZOの代表取締役社長である前澤友作さんがTwitterで総額1億円のお年玉企画としてフォロアー100人に100万円をプレゼントをする、というキャンペーンをやってバズりましたよね。今の時代でもお金は人を動かすインセンティブになるんです。だから、1ヶ月に100kmランニングができたら100万円が当たるチャンスをもらえるキャンペーンを開催するなど、そういったものでないと生活習慣病の人やその予備軍の生活改善はできないんじゃないかと思うんですよね。

RunLinkによる認証制度の設立が始まる

堀江 ■
金銭的なインセンティブのほかにも、ISO認証制度のようなものを作ったらいいと思っています。企業がISOやプライバシーマークを持っているとひとつのアピールになりますが、それと同じように、RunLinkで認証制度を作るのはどうですか?
早野 ■
それはいいですね。JAAFもひとつの印籠のようなもので、陸上界やランニング界においてはひとつの重要な要素になっていますから。堀江さんがおっしゃるように、RunLinkロゴを持っていることがひとつのステータスになるようにしていきたい。
堀江 ■
企業の中でも、総務部や管理部といった部門はきっと欲しがると思いますよ。そうしたものを取得して企業価値を高めていきたいと思っているので。金銭的なインセンティブに加えて、名誉的なインセンティブも与えることができますし、認証制度自体をビジネスにすることもできますから。